sotto voce

ジャックラッセルテリアの「りふぉん」とママ+パパの日々の日記です。

エッセイ

春待つ@気まぐれコラム

PORTRAIT


「春待つ・晩冬」長く厳しい冬が一段落して、寒い中にも時折、春の訪れを感じ、早く春が来てほしい、と願う気持ちを表す季語だそうである。
デンマークに戻ってきて一週間、一足先に初夏のようだった東京を離れ、季節は一ヶ月以上戻った感じだが、暖かい春の匂いを含んだ空気も少しずつ流れてきている。枯れ木ばかりしか見えない森にも、確かに春の息吹があって、小さな緑に心が明るくなる。
3年目のデンマーク生活が始まった。1年目の慌ただしさと不安、2年目の思うようにならないもどかしさ、それに比べると、今年は驚くほど自然に滑り込こめた気がしている。ある意味の諦めや慣れ、時間の経過とともに、体と心がうまく順応するようになったのだろう。若い頃ならもっと簡単だったに違いないが、悲しいことにこれが経年劣化というものか、ミシミシと音をたてながら、それでも居場所が心地よくなってきたことを嬉しく思っている。季節同様、「春待つ」なのである。
日本で待っている存在があることも大きい。元気で一時帰国するためにも、心身ともに健康を維持するという目標があり、毎日の張り合いになるだろう。
今年の休暇はどこにするか、なにか新しいことを始めるか、そんな前向きなことが頭を占領している毎日は楽しいものだ。
近くの公園は、もうすぐクロッカスの絨毯で埋め尽くされる。散歩のたびに、景色は春が濃くなって目を喜ばせてくれる季節、小さな変化も見逃さずにゆっくり歩きたい。






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2023年を振り返る@気まぐれコラム

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(頭隠して尻隠さず)

2023年も大晦日だ。昔ほど年末年始の風情は感じられないものの、今年の反省、新しい年への心の準備をする静かな時間はあっていいと思う。
特別な食材や飾りを用意するだけが正月の準備ではない。自分なりに時間の流れを確認し、確実に減ってきている残りの人生に寄り添うことで、また1年、健康で充実した年を送る励みにしたい。
デンマーク生活2年目を終えた今年、1年目とは違った難しさがあった。手続きや初めての環境に戸惑いつつ、目新しい生活に一喜一憂した去年、今年は少し落ち着いた中で、改めてこの年齢での異国の暮らしに苦労したことも多い。デンマークはある意味、非常に健全な国で、きちんとした法的手続きを踏めば、みな平等に権利が与えられ、差別もなく、暮らしやすい。この小さな国はしっかりとした筋が通っていて、人間が人間らしく、安心して一生を暮らせる国である。ただ、我々にとって、2つの国の根本的な考え方、暮らし感の違いは、相当に隔たりがあって、郷に入れば郷に従えとは言うものの、両極端とも言える生活の中に身を置くのは、カメレオンさながらの変わり身の速さと柔軟性が必要だ。
気候の違いも大きく影響した。夏こそ爽やかでパラダイスだが、思っていた以上にデンマークの天気が悪く、特に夏の終わりから秋は、いつも曇り空からにわか雨が落ちてくる毎日、その上緯度が高いせいで昼間が短い。日本の太平洋側で育ってきた我が家は、体に太陽が不足し、朝起きたときに真っ暗な生活では、心身ともに疲弊してしまう。
幸い、冬の間は日本で暮らす計画にしてあったので良かったが、今年11月の帰国を待ち焦がれていた自分を否定できない。
1年目よりフットワークは軽く、3月にデンマークに戻ってすぐ、イタリアに飛び、トリエステに2週間滞在した。週末を利用して出かけたクロアチアのロヴィニは快晴に恵まれ、太陽で十分に充電し、コペンハーゲンの春を待った。4月末には一人旅でデンマークの東の端、リーベへ。まだ寒くて凍えたものの、古い、風情のある町並みを楽しむことができた。
1年目は叶わなかった夏の休暇、今年は3回取ることができた。年間6週間の休暇のうち、夏に3週間休みを取ることが義務付けられており、取らないと自動的に休暇にされてしまうので、春になると、みな夏の休暇をどうするか真剣に考えるのだ。7月の初めにノルウェーのベルゲンでフィヨルドを堪能、年間300日雨が降ると言われるベルゲンで5日間、雨に降られず、フィヨルドの幻想的な美しさには息を呑んだ。8月には一人旅でフィンランドのヘルシンキへ、9月にはデンマークのハワイと言われるボーンホルム島でのんびりバス旅を楽しんだ。
今年はコンサートにも数多く出かけた。夏のチボリ公園でのコンサートは料金も手頃で、しかもチボリの入園料が込みなので、非常にお得。時間があれば、コンサート前に軽食をとったり、散歩したりすることができる。DR(デンマーク放送交響楽団)の定期演奏会にも何度か通った。ペトレンコ指揮のマーラー5番は圧巻で、帰りの地下鉄の中で翌日のチケットを購入したほどだ。同じプログラムで2日連続行ったことは、自分の中でも記憶がない。
冬に盛んになるオペラやバレエの演目に行けないのは少し残念だが、シーズンは5月まであるし、夏はまたチボリのコンサートに通おうと楽しみにしている。
今年一番のニュース、それは11月15日に帰国したときには夢にも思っていなかったことが我が家に起きたことだ。19日になって突然、犬を迎える話が持ちあがり、その1週間後、生後半年の子犬が我が家にやってきたのだ。前の犬がお空組になってから2年半、デンマークに住んでいる間は絶対に叶わないと思っていたことだが、「一緒に育てられると思う」という、長い付き合いのブリーダーさんの言葉に救われた。以来、我が家にはもう一つ太陽ができたような明るさ、温かさ、笑いと会話が渦巻いている。
あと4年、一緒に過ごせる時間は短いが、冬の3ヶ月間、ありったけの愛情を注ぎ、あとは信頼してブリーダーさんに預ける計画である。

来年はどんなことが起こるのだろうか。世界情勢は均衡を失い混沌としている。
本当に地球は危機的状況で戦争などしている場合では無いと思うが、どの争いも解決や休戦の気配がない。感染症の危機も去ったわけではないし、自然災害も頻発している。我々のヨーロッパとの行き来も簡単に出来なくなるかもしれない。
誰もが危機感は持っていると思うが、同時に母国に対する愛、権力や不安の裏返しにより現れる闘争心もある。踏み出してしまえば引き返す事は難しい。自戒も含めて反省し、大きな事はできなくても、いつも身近な誰かのことを考えて思いやりを持っていたいと思う。

2024年が幸せで平穏な年になりますように、どうぞ良いお年をお迎えください。


空港@気まぐれコラム

MP


一時帰国して一週間、ようやく急ぎの用事が終わり、次は健康診断だ。デンマークにも病院はあるとはいえ、異国での受診は心配なので、できるだけ検査を受けておくに限る。それでも、年々病気のリスクはあがるので、なんとか無事でありますように、と祈る日々である。
さて、今回は色々検討した結果、昨年のフィンランド航空を蹴って、全日空とルフトハンザの共同運航便にした。スカンジナビア航空がコペンハーゲンと羽田の直行便を持っているが、運賃が高く、時間もあまり良くないので、仕方なくミュンヘン経由とした。
出発する空港は小さいほうがいいし、乗り継ぎ空港も小さいほうがいい。
巨大空港は出発便こそたくさんあるものの、空港内の移動が半端ない。昨今、どこの空港も大きくなった。昔はいくつかしか搭乗ゲートがなかったような空港ですら、ターミナル間のシャトルまでできる有様だ。当然、荷物を持ってたくさん歩く羽目になる。ゲートの間には、巧みに免税店が配置され、各国のブランド品店が軒を連ねる。あれがなければもっとゲートまで近いのに、と恨めしい。空港も一種のショッピングセンターなのだ。
コペンハーゲンの空港は比較的、こじんまりしていてわかりやすい。地下鉄も国鉄も乗り入れていて、空港に直結しているので大変便利である。ただ、最近は全てデジタル化され、荷物を預けるのも、QRコードでタグを出して自分でつけ、カウンターに乗せる。徹底的に人員削減である。1年で様変わりすることが沢山あるから対応するのが大変な老夫婦である。
最新式のセキュリティーも徐々に導入していて、カバンから電子機器や液体を出さずとも済むこともある。そうでないと、スマホやパソコン、タブレットを出し、液体はまとめて袋に入れ、コートを脱ぎ、スカーフを外し、時計も置いて、男性はベルト、靴まで置かないといけないこともあるので、相当時間がかかり、また身につけてカバンに収めるのも一苦労だ。冬は着ているものも多いし、国際線ともなると、持ち物も多いのでコペンハーゲン空港では、セキュリティーに何分要しているか、スマホに連絡がくる。それを見て、混んでいる時間帯は早めに行かないといけない。大型連休などは、長蛇の列で、乗り遅れも出るから飛行機も遅延する。荷物だけ積み込んで持ち主の人間が乗らないと、絶対に飛行機は出発しない。荷物に爆弾を積み込んでいる可能性が否定できないからだ。全員降ろされるか、荷物を降ろすか、それまで待たされる。買い物に熱中していて、最終搭乗に遅れると大きな迷惑がかかるのだ。
セキュリティーの次は国際線の場合、出国手続きが待っているから、さらに時間がかかる。
旅行者の場合は、パスポート提示だけで、すぐに通過できるが、我々はデンマーク居住者なので、デンマークの住民カードの提示も必須。持っていないと戻ってこれない。毎回、長々とトラブっている人を見かけるのだが、出国・入国の条件を満たしていないのかもしれない。
基本は出るものは拒まず、入ってくるものは厳重にチェックすることである。
往復のチケットは今回、デンマークから購入しているので、居住ビザがないと復路には乗れないわけである。出国の際は、その確認もある。
空港では、ゲートが頻繁に変更になるので注意しないといけない。今回もスマホに来たゲートと表示が変わっていて、途中まで行って確認するまで気づかなかった。無駄に歩いた上に、つい買い物をしないためにも、最短距離でゲートにたどり着くのが望ましい。ただ、空港内を歩くのは運動にもなる。長時間、飛行機の中で座り続けるのは良くないから、乗り継ぎの際の移動も悪いことではない。とはいえ、子供や高齢者にはなかなかハードルが高く、あの空港内の移動、乗り継ぎの面倒さを考えると、早く、直行便が安定してくれることを願う。ロシア上空を飛べなくなって久しい。いつまでこの状態が続くのか、空の過密スケジュールはもう、限界なのではないだろうか。黒海やカスピ海上空といっても、いつ何時、飛べなくなるような事態が起きないとも限らない。2010年だったか、今も危険な状態にあるアイスランドの火山が大噴火して、ヨーロッパ中の空港が麻痺し、飛行機での移動ができなくなったことがあった。ちょうど、スペインに行く予定だったが中止、しばらく空は大混乱だった記憶がある。今回も同様の噴火になれば、来年、アイスランドに近い北欧、デンマークに戻る便にも支障がでる。
戦争ばかりではなく、自然災害の前でも人間は無力なのである。
我々が出た翌日のコペンハーゲンは大嵐で、地下鉄にも水が侵入、交通に大きな障害が出た。航空機も軒並みキャンセル、遅延だったのではないだろうか。運良く、羽田に予定通り到着して、出口に向かう通路は昨年の秋とは雰囲気がガラリと変わっていた。昨年はコロナの影響で検疫が厳しく、接種証明を持っている人と持っていない人は完全に分けられ、臨時アルバイトの係員が乗客の数より多いのではないか、と思うくらい配置され、大きな表示板を掲げて声を枯らしていた。今年は誰もいないガランとした検疫をノーチェックで通過、昨年のあれは何だったのだろうか、と不思議な気持ちになった。接種証明を持っていたところで感染していない証明ではないのだし、何の意味があったのか、疑問は残る。
空港は色々買い物もできるし、レストランも充実しているので、早めに行って楽しむ人は多いだろう。搭乗券を持っていなければ入ることができない場所である。
ただし、色々な人が集まる場所であり、テロの標的になりうる場所でもあることは、いつも心に留めている。駅やショッピングセンター同様、不特定多数の人間が入り乱れる場所、そして色々な目的で飛行機に乗る人がそこには存在する。
「ターミナル」という映画をみたことがあるだろうか。トム・ハンクス主演、アメリカ・ニューヨークのJFK国際空港に飛んできた東欧の小国の男、入国直前に彼の祖国でクーデターが起こり、事実上消滅、彼のパスポートは無効となり、入国も帰国もできず、空港内で暮らし始めるコメディーだが、最近の世界情勢をみていると、あながち絵空事とは思えない。
日本のパスポートは今はまだ信用性が高く、どこへ行っても入国がスムーズだが、それは永久不滅のものではない。母国のプライドを持ち、いつまでも胸を張って空港を歩きたいものである。

2年目を終えて@気まぐれコラム

MP

(デンマークに豚は約1100万頭、人間は600万人弱)

デンマーク生活2年目が終わろうとしている。1年目のドタバタから考えると、今年は事務的な手続きもなく、大きな問題はなかった(小さなトラブルは多々あり)。旅行もイタリア、ノルウェーではフィヨルド観光、フィンランドのヘルシンキ、デンマーク国内も数か所訪れることができたが、正直なところもう少し欲張って動いても良かったかなと思っている。世界情勢は刻一刻と変化し、決していいとは言えない方向へ不穏な空気が広がっているから、行きたくても簡単に行けなくなる場所が増えている。デンマークに来ることを決めたとき、心配はコロナの蔓延だけだった。ところが、急にロシアとウクライナの戦争が始まってしまい、航空路線の変更を余儀なくされた。イスラエルの衝突も解決の道筋が見えないばかりか、世界が分断されかねない火種となるのではないかと不安が膨らむ。
貴重な文化遺産が破壊され、自然豊かな森林が燃え、田畑は作物ができず、食糧危機も目の前である。単純に「争いはやめて」と叫んですむような事ではないのは百も承知だが、同じ地球に住む者同士じゃないか、と母国を離れてなおさら感じている。
少しばかり大変だったことと言えば、配管工事で10日間、水が使えなかったことだろうか。はっきりした日程が知らされないままそれは始まり、いきなり終わったのには笑ったが、水というのは、知らず知らずのうちにあれこれ使っているものだと認識した。料理やトイレ、洗濯やシャワーに水を使うのはもちろんのこと、ちょっとした手の汚れも、いちいち外の移動トイレトレーラーまで行かないと洗えない。水を汲み置きしていても、排水に流せないのは面倒だった。元気な夫婦2人でも不便だったのだから、高齢者、病人や子供がいる家庭は大変だっただろう。隣の人はしばらくどこかへ避難していたようだ。我が棟は6月の、暖かくなってきたころの作業だったので助かったが、実際には1月から始まっており、他の棟では極寒の時期にトレーラーまで行かなくてはならず、しかもトレーラーは駐車場に設置してあったため、かなりの距離をシャワーを浴びたあとに歩かねばならなかったはずだ。
利用者優先ではなく、あくまで作業する側の都合日程だから、時間までしか働かないのが原則、我が家が金曜日の作業終了ギリギリに開通したのは運が良かったとしか思えない。あと少しのところで週明け、つまり2日間余計に水なし生活になったことだってありえたのだ。
アパート前の歩道の大きな穴もそうだ。なにも工事をしている様子がなく、たまに作業員が覗き込むくらいで止まったまま、待てど暮らせど埋まらない。これもある日、いきなり重機がやってきて、あっという間に塞がって、今や何もなかったような歩道である。
デンマークに来て、なにか落ち着かない気がするのは、説明が乏しく何なのかわからないせいが大きいと思う。日本だと、工事をしているなら看板があって、日程と目的が書かれてあるからある程度の様子がわかる。ここでも行政に問い合わせをすればわかるのだろうが、わざわざ問い合わせをするほどのことでもないから「何のための工事なのか」と首を傾げるだけである。駅の角はずっと更地だったのだが、こちらはただいま絶賛工事中だ。何が建つのか、どのくらいの期間なのか、もちろんどこにも書いていない。来年の3月に戻ってきたとき、どの程度変化しているのだろうか。
家人はバスの中でよろけて脇腹を打ち、初めての病院を体験した。もちろんいきなり行っても診てもらえない。電話でかなり粘って予約を取り、レントゲンだけでもと思ったのだが、残念ながら触診しただけで終わり。私は幸い、病院にいくほどのことはなかったが、最後まで気を緩めてはならないと慎重になっている。
それにしても、このところ太陽はとんとご無沙汰で、朝一番朝日を浴びてセロトニンなど夢のまた夢である。チラっと日が照ることはあっても、すぐに雨が落ちてくる毎日では、洗濯物を外干しすることも叶わず、寂しくなってくる。帰国したら、まずは湯船にゆっくり浸かって温まり、日向の匂いがするタオルに包まるのが楽しみだ。

音楽会@気まぐれコラム

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今年の滞在では、コンサートやオペラ、バレエにできるだけ行こうと考えていて、こまめにチェックした結果、ざっと数えてみると、オーケストラのコンサートが10回、オペラが2回、バレエが1回、その他、小さい室内楽のコンサートも入れると、全部で15回ほど、8ヶ月の滞在中に出かけたことになる。気軽に行ける理由は2つ、料金が安いことと近いことだ。
もちろん高い席もあるが、私の場合はせいぜい下から2番目の価格帯、3000円から5000円くらいを目処にしている。音響はホールによって違う。数か所、同じ料金で違う席を試してみて定位置が決まり、選ぶのも楽になった。その席が空いていなければ、次の候補はここ、という席も決めてある。
新しいホールは席もわかりやすい。旧王立劇場は、その中では一番わかりにくいとはいえ、一度行けば理解できるのだが、不思議なことに、もっとわかりやすいホールでも、常に迷って席を探している人が多い。ちゃんと見れば座席番号が表記してあるのに違う席に座ってしまって、あとからその席の人が来ると、今はスマホにチケットが入っているから、お互いに出して確認しなければいけない。開演間際に席の大移動が始まったり、あれこれと話す声がいつまでも聞こえたりするのはあまり嬉しくない。
ヨーロッパでは、この手のものは社交の場であり、私のように一人で聴きに来る人は少ないように思う。その証拠に2席しか空いてないところを1席だけ買おうとしても買えないのだ。あくまで、そこはペアにために残しておくという意図があることに気づいたのはしばらく経ってから。休憩は30分、オペラになると幕間が数回あったりするので、その度に30分待たされる。その間にお客さんはバーで飲みつつ、話を弾ませるのだ。私にとってこのひたすら待つ30分は結構長い。個人的にコンサートは一人で楽しむものと思っていて、この長い待ち時間に、聴く集中力が途切れるのは好ましくないのだ。これは、もしかすると演奏側だったからかもしれない。前半が終わって、あまりに休憩が長いと集中が切れてしまう。体力さえ続けば、休憩なしで弾き続けたほうが楽なのだ。
ただ、人々の社交の場として、演奏会やオペラがあるという習慣、歴史があるからこそ、特別なことではなく、食事やハイキング同様、気軽に楽しむ文化が続いているのだろう。
日本のように「コンサートに行く」というだけで堅苦しいイメージがついてまわることはない。たまに、絶え間なくビールを煽りながらクラシックを聴く人が隣にいるといささか迷惑ではあるものの、緊張して直立不動で聴く必要がないのは誰にとってもハードルが低い。
暗い冬の間はインドアの娯楽が盛んになる。オペラもコンサートもバレエもこれからが本格的なシーズン、クリスマス前後は特にイルミネーションも美しくなり、イベントに華を添える。
どのホールも我が家からは30分以内だ。運河の向こう岸にある新オペラハウスだけは、運河にかかる橋の関係で、少々大回りせねばならず、電車とバスを乗り継ぐことになるが、それでも40分もあれば着く。ほとんどの演奏会が19時半の開演で終演が22時近く、そこから帰宅するのに1時間以上もかかるとなると足が遠のくが、夕食を家で済ませて19時前の電車に乗れば悠々間にあい、帰宅も22時半前となれば、その日に思い立ってチケットを買うこともある。
中でも楽しめたのは、夏のチボリコンサートだ。チケットは高くないのだが、なんとチボリ公園の入場料が含まれている。開演の1時間前に行って、チボリ公園を楽しむこともできるし、軽い夕食をとることもできる。休憩時間に外へ出ればチボリの楽しげな夏が広がっている。終わってもまだ明るいし駅は目の前、夏の北欧は人気があり、バカンスも兼ねてなのか、素晴らしい演奏家が目白押しだ。
3公演以上買うと20%オフにもなり、とてもお得なチボリコンサートは、来シーズンも是非チェックしたいと思っている。しかし、それも6月まで、7月から8月の半ばまではお休みだ。演奏家は完全に休暇を取る人もいるだろうし、ヨーロッパやアメリカの音楽祭に参加する人もいる。アメリカの場合は、公演のある9ヶ月分しか給料が出ないので、夏の仕事はミュージカルや各地のマスタークラス、音楽祭のオーディションを軒並み受けて仕事を確保し、若手はアパートもサブレントして家賃を浮かせるため、夏前はみな、とても忙しくしていた記憶がある。
今シーズンの最後にいくつか行きたいコンサートがあるのだが、4月、5月の予定がわからない今、ポチッとするのは躊躇われる。安い席とはいえ、せっかくだから無駄にしたくないので、どうかお目当ての席が埋まりませんように、と念じているところなのである。

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天国支部の幹事に転職 2021.5.29
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