「春待つ・晩冬」長く厳しい冬が一段落して、寒い中にも時折、春の訪れを感じ、早く春が来てほしい、と願う気持ちを表す季語だそうである。
デンマークに戻ってきて一週間、一足先に初夏のようだった東京を離れ、季節は一ヶ月以上戻った感じだが、暖かい春の匂いを含んだ空気も少しずつ流れてきている。枯れ木ばかりしか見えない森にも、確かに春の息吹があって、小さな緑に心が明るくなる。
3年目のデンマーク生活が始まった。1年目の慌ただしさと不安、2年目の思うようにならないもどかしさ、それに比べると、今年は驚くほど自然に滑り込こめた気がしている。ある意味の諦めや慣れ、時間の経過とともに、体と心がうまく順応するようになったのだろう。若い頃ならもっと簡単だったに違いないが、悲しいことにこれが経年劣化というものか、ミシミシと音をたてながら、それでも居場所が心地よくなってきたことを嬉しく思っている。季節同様、「春待つ」なのである。
日本で待っている存在があることも大きい。元気で一時帰国するためにも、心身ともに健康を維持するという目標があり、毎日の張り合いになるだろう。
今年の休暇はどこにするか、なにか新しいことを始めるか、そんな前向きなことが頭を占領している毎日は楽しいものだ。
近くの公園は、もうすぐクロッカスの絨毯で埋め尽くされる。散歩のたびに、景色は春が濃くなって目を喜ばせてくれる季節、小さな変化も見逃さずにゆっくり歩きたい。
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